こんにちは、コスメコンシェルジュの伊藤羊子です。
「薬用○○化粧品」「医薬部外品」という文字を見ると、普通のスキンケア化粧品よりもなんとなく効果がありそう・・・なんとなく良さそう・・・というイメージを持つことが多いのではないでしょうか。
「薬用化粧品」という分類は、日本独自のものです。
一般的な化粧品と比べてなにが違うのかといいますと、「効果・効能」(予防などの効果)を表示することができるのがいちばん大きなポイントです。
美白化粧品やニキビケア対策コスメ、毛穴対策コスメなどのお悩み系化粧品に薬用化粧品が多くなっています。
そもそも化粧品とは、
人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。
― 薬事法における化粧品の定義(第2条第3項)
というものです。
薬用化粧品(医薬部外品)は、薬品と違って病気やけがなどを積極的に治すためのものではなく「予防」に重点を置いているのが特徴ですが、国に効果効能が認められた成分が配合されており、一般的な化粧品に比べ「特定のお悩みを解決したい!」というときにチョイスしたい化粧品です。
とはいえ、薬用化粧品にもメリットとデメリットがあります。
今日は薬用化粧品のメリットとデメリットをまとめてみました。
もくじ
薬用化粧品のメリットって? こんなところが頼もしいんです
「薬用」「医薬部外品」とパッケージに書いてあるだけで、なんとなく良さそうなイメージが生まれるのが不思議なところ。
「薬」の文字が入っていることで、お悩みを素早くケアしてくれそうな感じがするからかもしれません。
薬用化粧品のメリットは
- 効能・効果が認められている有効成分が一定量入っている
(「国から認められた作用の強い成分」を配合できる) - 一般的な化粧品に比べ効果が高い
(化粧品<医薬部外品(薬用化粧品)<医薬品)
ということです。
それぞれどういうことなのか詳しくみてみましょう。
効能・効果が認められている有効成分が一定量入っている
一般的な化粧品は「効果・効能」を謳うことが規制されています。そのため「お肌にうるおいを保つ」などのゆるやかな表現しかされていません。
一方、薬用化粧品は厚生労働省によって効能・効果が認められている有効成分が一定量入っており、具体的な効果効能を謳うことが許されています。
たとえば、こんな薬用化粧品があります。
- 皮膚の水分保持能を改善する
→ うるおいを生み出せる肌に!ライスパワーNo.11開発元にお話を聞いてきました - メラニンの生成を抑制してシミを予防する
→ 厚生労働省認可の美白成分まとめ - 炎症を鎮める、ニキビを予防する
→ 皮膚科医推奨の薬用ニキビ対策化粧品 - 皮脂分泌を抑制する ←New!
→ 皮脂に悩む脂性肌・ニキビ肌のためのライスパワーNo.6
効果効能を公に言えるということは、薬と同じく症状を改善・緩和できる成分を配合するということでもあります。
医薬部外品の場合はその有効成分の配合量も国から厳密に決められているため、医薬品より有効成分の配合量が少なく、副作用の危険性が低い代わりに効果も緩やかになっています。
そのため、薬用化粧品には副作用の表記義務はありません。
逆にいえば医薬部外品以外の一般化粧品はそういった配合量や配合内容の規制がない(上限が決められている成分もあります)ので、有効成分をたくさん配合する・何種類も配合することが可能です。
そのため、場合によっては薬用化粧品よりもこだわった製品が製造できる場合もあるので、全成分や製品のコンセプトなどをよく見て選びましょう。
とはいえ、「医薬部外品」を選ぶということはお悩みに対して効果の高い化粧品を選ぶ上で大いに参考になるといえます。
一般的な化粧品に比べ効果が高い
特定の効果・効能が謳える有効成分を配合しているということは、それだけお悩みに対しての改善効果が期待できます。
医薬品(薬)よりは効果が落ちるものの、同じ成分を少なく配合しているのが医薬部外品(薬用化粧品)です。医薬品と化粧品の中間の存在・・・それが薬用化粧品です。
効果の高さ度合いでいうと、一般化粧品 < 医薬部外品(薬用化粧品)< 医薬品となります。
たとえばニキビ肌で悩んでいる場合、治療を目的にするならば医薬品を、予防を目的にするならば薬用化粧品を選ぶというのもひとつの目安です。
薬用化粧品のデメリットって? こんなところに要注意!
お肌のお悩み対策には頼もしい存在の薬用化粧品ですが、メリットがあればデメリットがあるもの。薬用化粧品のデメリットは何でしょうか?
- 作用が強いものは反作用も強い
- 全成分表示義務がないので全成分が正確に分からない
- 対処療法的なので、お悩みの根本的な解決に繋がりにくい
などが考えられます。それぞれ少し詳しくみてみましょう。
1)作用が強いものは反作用も強い
薬には身体の不調を治療する効果がある反面、副作用が出る可能性も常についてきます。
適切な使い方をしないと薬といえども毒となるリスク(危険性)と表裏一体です。
作用が強いものは反作用も強いということです。
某美白化粧品で肌がまだらに白くなる「白斑問題」が話題になったことはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。
該当の化粧品は薬用化粧品で、成分は国から認可を受けたものでした。
効果の高さが「化粧品<薬用化粧品<医薬品」だとしたら、副作用の危険性の高さも「化粧品<薬用化粧品<医薬品」 といえます。
「薬用=国から認められている=安全」というイメージがあるとしたら、それは少々国を過信しすぎていると言ってもいいかもしれません。
審査段階では分からなかった副作用が認められて後から認可取り下げになることも中にはあるということを覚えておきましょう。
2)全成分表示義務がないので全成分が正確に分からない
一般化粧品は、どんな成分が配合されているのか消費者が分かるように全成分を容器または外箱に表示することが薬事法で義務付けられています。
一般化粧品の成分名の順番は配合量の多い順に表示することが義務付けられているので、全成分表示を見ればどんな成分が多く配合されているのか大まかに把握することができます。
(ただし、配合量が1%以下の成分と着色剤については順不同でOKということになっていますので微量にしか入っていない成分については分かりにくい部分もあります)
薬用化粧品(医薬部外品)は国に全成分を提示し、厚生労働省から承認を受けて製造が許可されたもので、国に成分の認可を受ける代わりに、全成分表示をしなくてもよいとされています。
有効成分(薬用成分)とその効能・効果が書かれていれば、その他の成分については表示がなくてもOK(指定成分を除く)なのが薬用化粧品です。
近年では消費者のニーズに合わせて薬用化粧品でも全成分表示するメーカーが増えてきていますが、医薬部外品の全成分表示は義務ではなく自主基準によるものなので、「その他の成分」を表示する場合、一般化粧品のように配合割合の%順に並べる義務はないのです。
良心的なメーカーは一般化粧品の基準にのっとって配合量順に表示しているようですが、意図的に記載順を変えてあたかも美肌成分が多く入っているように見せかけることができることを消費者は覚えておくべきではないでしょうか。
「私は○○という成分が合わない」と把握している人にとっては、全成分表示はとても重要な情報です。
敏感肌さんの場合、特定の成分がダメという人は少なくないので、全成分が正確に分からないのはかなり大きなデメリットになります。
こういった情報をきちんと開示してくれているメーカーは信頼が置けると言えますし、逆を言えば開示されていないものはパスするという目安にしてもいいかもしれません。
3)対処療法的なので、お悩みの根本的な解決に繋がりにくい
クスリで症状を改善することは悪いことではありません。明日大切な会議があるのに、熱が下がらない・・・というときは解熱剤を使って乗り切ったりすることも大切ですよね。お肌の悩みについても同じことが言えます。
ただし、それは対処療法であって、悩みの根本解決には繋がりにくいので注意が必要です。
つねにその悩みが続くのは何故なのか、たとえばストレスによるものなのか生活習慣に原因があるのか、肌力そのものが弱っているのか。そこを考えないといつまでもその肌悩みや肌トラブルの本質から解放されません。
当サイトでは「医薬品」「医薬部外品」は短期的に使用して肌トラブルを一時的に抑えたり肌悩みを解決したりするものであり、ふだんは「化粧品」で肌そのものが持つ肌力や自然治癒力を高めて肌トラブルの起きない肌にしていくことが重要だと考えています。
薬用化粧品そのものは化粧品よりも強い成分が配合されているとはいっても継続的に使用しても差し支えのない処方になってはいます。が、お悩みが解決された後もそのまま使い続けるのではなく、肌トラブルがおさまったあとは自らの肌力を高めるスキンケアにしていくことも視野に入れてほしいなぁと思います。
また、薬用化粧品とはいえ必ず効果が得られるとは限りません。そのお悩みの原因に合った成分ではなかった場合もありますので、3ヶ月使ってみて効果を感じなかったら他のものに変えてみるというのも大切です。
薬用化粧品のメリットデメリット まとめ
薬用化粧品は化粧品と医薬品の中間のような存在で、有効成分を国が定めた規定量配合しているためその効果・効能を謳うことができる化粧品です。
一般化粧品に比べお悩み解決効果が高いため、ニキビやしみ、毛穴、肌荒れなどの肌トラブル対策に薬用化粧品は大いに役立ってくれます。
ただし、作用が強いものは反作用も強い(副作用が起こる可能性がある)こと、全成分表示義務がないので特定の成分で肌荒れすることが分かっている人にとっては気がかりであること、薬用化粧品だからといって必ずしも肌トラブルが解決できるわけではないことも覚えておきたいポイントです。
肌トラブルを解決していくのはもちろんのこと、その原因を解決したり肌本来の回復力を高めたりして根本的な解決を図っていくことが本当の美肌への近道。
薬用化粧品を上手に使いながら、キレイなお肌を目指しましょう!
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